事件のあらまし
長らく停滞していた国分寺北口駅前の再開発はようやく権利者の調整を終え、進むように見えていました。
しかし星野前市長が特にこの再開発事業について何かしたということはなかったと思います。
地道な交渉もお願いも説得もありませんでした。それ以前の市長らがやってきたように、市長として情熱を傾けて働くというようなこ
と ありませんでした。
市民としては、ただ市長の椅子に座っていただけのイメージしかありません。
そこへある日、突然その再開発予定地域の真ん中にパチンコ屋が出来るという話が浮上します。
そこは空家状態、その前は貧乏テナントだけで営業を続けていた駅前というのになぜかうらびれたままの建物がありました。
どうやって大家は暮らしているのか、みなが首を傾げるような建物でした。
そこにパチンコ屋を入居させるという計画が持ち上がりました。
権利者の調整は一部では何もされていなかったのです。
これを最初に聞きつけたのは星野前市長でした。この土地の所有者はかつては星野前市長とゆかりの、とても深い縁の関係がありまし
た。
これについて星野前市長は、「大変な問題になった」と議会で発言をします。「このままでは再開発が危ない」などとの見解が飛び交い
ました。
これに対して議員らは、星野がこれまでいったい何をしていたのかと追求します。
よくよく見れば、実は別にそのパチンコ屋がどうという問題ではありませんでした。
他に何件もパチンコ屋が駅前で営業しているのに今更と言う感じではあったのです。別な店舗は何の問題もなくその開発地区で増築 さ え許可されていました。
どうにかしろ、何かしたらどうか、結局、議員らは星野前市長がこれまで何をやっていたのか、それだけを議員らは追求していたに過ぎません。
前市長はそこから行動に出ます。
「本件パチンコ屋の出店をとにかく阻止する」ということを議会で公言します。
そのアイディアは、図書館を使ってパチンコ店を出店できないようにすることでした。
図書館を設置し、その近隣には風俗営業法の規制がかかることを利用して、このパチンコ店の出店を阻止するというのが星野前市長の ア イディアでした。
図書館の設置のためには条例が必要になりました。
このため星野前市長は最初は自分で条例を提案しようとしましたが教育委員会には断 られてしま います。教育長が弁護士だったため、このような政策について「違法の疑い」を指摘されてしまい、教育委では継続審議になってしまったのでし た。
すると星野前市長は、議会に条例を提案させることを思いつきます。
教育委員会の審議を経なければならない市調停案に対し、議会が「図書館を作りたい」と議員提案すれば可能だったのです。
このため市長部局は様々な文書を議会に提示して説得に動きました。
あろうことか「法的に問題がない」かのような擬装まで行なって議会を動かしたことが伺えます。
結局、こうした一方的な星野前市長の動きは議会に逆に「市長の専決処分」によって図書館すら設置されかねないことを危惧される結 果となりました。
これまでも星野前市長は専決処分が多く、図書館設置すら専決処分されてしまうことは、議会の存続の意義すら疑わしめることになる からです。
この結果、議会はこの要請に応じることにし、条例は可決されました。
全会一致での可決成立でした。
そうして、星野は当初の計画通りに図書館をそのテナントの入居するすぐ隣に建て、パチンコ屋を出店できないようにしたのです。
しかし、「パチンコ屋を妨害するための図書館」などというものはありません。
図書館は市民サービスのためのものです。そしてその図書館の環境のためこその風俗営業法でした。
図書館ができるとその周辺には風俗営業の店は作ってはならないという規定を利用する、それだけのために図書館が設置されました。
妨害のために図書館を利用するなど本末転倒で違法なやり方でしかありませんでした。
すぐに再開発事業のためにその図書館は移転し、その費用がムダになっています。
また不思議なことに、これは前市長が業者と交渉の挙句に行き詰まり、やむにやまれずやったことでもありませんでした。
星野前市長は交渉もせず、折衝もせず、出店計画をしている事業者と会うこともありませんでした。
その出店が「再開発事業にとって問題だ」という、当該のパチンコ事業者に何らお願いすることもせず、いきなり星野はパチンコ屋を出
店させないために図 書館を設置したので す。
その営業妨害行為のため、損害賠償を国分寺市は訴えられます。
そして市は星野の違法行為、その執行の結果として、国分寺市は四億五千万円もの賠償金を支払ったのです。
しかしこの事件は極めて曖昧なまま放置されました。
経緯も結果についても不透明なまま、ろくろく市民に報告もさないまま放置されました。
住民訴訟となり、裁判の結果は住民側の全面勝訴となりました。
市側は高裁に控訴しましたが、そこに内容はなく即日結審となり判決、判決は即時棄却となる予定でした。
しかし、議会はこの控訴審判決が出る前に議会において、星野前市長への債権を放棄する議決を行ない、市長はすぐにこれを執行しま した。これにより被告となった控訴人である市は、審理再開の申し出をしたのです。
これにより、もはや引き返せない河を渡った国分寺市議会は、最高裁判例さえ無視して、このような債権放棄の議決が通ると主張して います。
被控訴人は、これは司法の否定であり、三権分立すら揺るがす事態であるとして是正措置を請求することにしました。
すなわち、議会にはこの議決によって「免責的債務引き受け」の事実が認められるのであり、そうでなければこの議決を違法とするし かなく、それは地方自治の根幹を揺るがすことになる。よって、議員ら全員がこの債務の引き受けしたという事実の確認を求める、そう求 めたのです。
国家賠償法の規定が判断され、星野の違法行為の責任に対し、国分寺市は星野前市長へこの金額を請求せよとの判決が確定することは ほぼ確実でしたが、もはやこの事件は市議会の問題に移りつつあります。私物化され暴走した市政を司法はどう判断することになるのか。 争いは。最高裁まで行くのでしょうか。